夏の終わりと陽炎、オオカミ少年

作者葉貳良

白いシーツのなかに健やかに眠っていて、安心する。
「なにやってんだよ、アンタは」

「そんでなにやってんだ、俺…」

僕らは、その日、そこで出会っていた。


〈祐介〉


文芸部の先輩をしています。


僕は静かに本を読んで、映画の世界に遊びたい。

感情が揺れ動いて、日常を乱されるのなんて本当は嫌だ。


僕は眼鏡をかけている。

眼鏡がないと幾重にも滲んで世界は一変する。

そんなふうに、この世界は一瞬でかわってしまう

危うさを抱えているというのに、彼はちょっと

能天気すぎると想う。


〈郁〉


気持ちいいことが大好きです。

歌ったり踊ったり、映画観たり本読んだり、ゲームしたり。


料理はもともと好きでした。

居候がてら兄のおさんどんをするようになってさらに料理が好きになりました。

好きでやってることって、続ければもっと好きになるよね?


友人を誘ってゴハンを食わせることも多々あったけれど、2日目のカレーを食わせたいやつはいまのところ1人。


ひょろひょろと背の高い色白の眼鏡、文芸部の壁の花。

祐介センパイ。