風船 【完】

作者こすもす

割れるのが恐いのであれば、触らなければ良い。ただジッと、しぼんでいくのを待っていれば良い。


ふと油断すると

この手からするりと離れてしまう


ふわふわと漂う風船に手を伸ばしても

まるで逃げるように


この腕の中には納まってはくれない





パンパンに張り詰めていた風船が


些細なことで破裂して


その存在を無にする



割れるのが恐いのであれば


触らなければ良い



ただジッと


しぼんでいくのを待ってれば良い






2009.22.21