化野に咲く一輪花~adasino ni saku itirinnka~

作者蛍石

それは、どこにもない世界。
化野(あだしの)――。
そこに咲く、たった一輪の花。
その花が枯れるまで、守ろう。

それは、どこにもない世界。

――化野(あだしの)。

そこに咲く、たった一輪の花。

その花が枯れるまで、守ろう。


『化野に咲く一輪花


そのそばには、

彼女をたたえる一羽の小鳥と

彼女を守る四本の巨木がありました


彼らは、彼女のために存在するもの

彼らは、彼女にささげられた存在


他の世界で死んだ魂たちでした


彼らは、彼女が咲くたびに、

小鳥に連れられてきます


彼らは、彼女が眠るたびに、

元の世界へ帰ってゆきます


死んで生まれて、また死んで


彼らは、彼女が咲く前に、

再び小鳥に呼ばれるのです


四本の巨木――四神として』