うのたろう

キャラクターの造形がすばらしかった
本編を読んでいないので厳密なことはわからないが、これ一本できちんと物語が成立していた。

作品は男目線の物語だ。

後輩である「俺」。

そして俺が思いをよせる「先輩」。

あとがきにもあったが、ふたりには名前がない。

だが。
そんなことはそれほど問題ではない。

名前などなくても、だらだらした先輩と妙なテンションの俺の存在感がすさまじかった。

キャラクターのつくりはみごとのひとことだ。
好感が持てるなんていう、生やさしいものじゃない。

作品の途中にでてくる痛々しい英文も、主人公・俺ならいいそうだ。

妙に納得してしまう。

また文章力や構成力がひじょうに高いので、物語のはこびもスムーズだ。

見せ場があり山場があり、必要な情報が過不足なく記載されている。

ふたりの会話の温度差もたのしませてもらった。

短編なのでさらりと読める。
おかしなふたりの恋愛もようを、ちょいとのぞいてみるといい。

なんだかいいな。

そんなふうに思ってしまう。

まずは読んでみることをおすすめする。