ひとつ屋根の下 番外編
■かつて彼女と暮らした男
南野から渡された紙に記されていた住所と日時は、七海の結婚式のものだという。こっそりと見に行くように諭されて、拓海は——。
■こじらせ片思い
「はい、おみやげ」彼女に手渡されたそれは温泉まんじゅうだった。無難なものだが、好きなひとからもらえるのなら何だって嬉しい。それが新婚旅行のおみやげであったとしても——。
■忘れられないひと
「二回もキスした仲なのに、つれないな」同窓会で十年ぶりに再会した遥は、逃げようとした圭吾の手首を掴み、耳元で甘やかにささやいた。
■いつか来るそのときまでは
「あなたはこれからも遥の相手を務めてあげなさいな」性欲処理のためにつきあっているだなんて信じていないけれど、遥はいずれしかるべき家の令嬢と結婚するのだと言われて——。
■義理の兄の初恋
『遥のバカぁ、なんでこんなときに電話になんか……アッ』切り損ねた電話の向こうから聞こえてきたのは、遥と少女の生々しい音声だった。少女の声は、里子である七海のものによく似ていて——。
■恋ではなかったはずなのに
「武蔵が好きなんだ」まさか七海に恋心を告白されるなんて夢にも思わなかった。命の恩人の娘として大事には思っていたが、24も年下の彼女をそういう対象として見たことはなかった。けれど彼女はあきらめず——。