娘の部屋に入ったのは何年ぶりだろうか、
部屋に貼られた無数の紙。
『プリント提出』『奈緒子と遊ぶ』
と言う予定が書かれた紙はベットの付近
ドアの付近には
『お財布』『携帯』
と言う持ち物の書かれた紙
鏡の付近には
『靴下』『ブラジャー』
衣類の書かれた紙
机の付近には
『彼氏は正幸』『母は有希子』
人の名前の書いた紙が貼り巡らされている。
有希子は『母は有希子』と書いた紙を
机からはがし
握りしめ泣き崩れた。
そして娘の話をもっと真剣に聞いてやるべきだった
と言う後悔と
ついに自分の事も忘れてしまったのか
と言う心に穴が開いたかのような淋しさ
が同時に押し寄せた。
娘は今一体どこにいるのだろう。