俺が初めて君と出会ったのは病院の広場のベンチだった。


桜の花びらが舞い散る晴れた日の午後。

君は色素の薄い栗色の長い髪を風に遊ばせながら、穏やかな表情を浮かべて眠っていて、


俺には妙にその姿が面白かった。


ほんのりピンク色の頬に、透き通るような白い肌。

白いワンピースと羽織られた深緑のチェックのスカーフが風に揺れている。


このときはまだ、何も知らない。



この少女と恋に落ちることも

恋がこんなにも愛しく辛いものであることも。