小泉秋歩
2つの猟奇事件を取り巻く人々の壮絶なドラマ
長野県のスキー場にあるペンション【セカンド】で起きた謎の猟奇殺人と、和歌山県の高級ホテルで起きた娼婦殺し。全く接点がないように見える2つの事件が、意外な形で交差していく。
これらの事件に関わる人々――スキーサークルの大学生4人とその引率教授、ペンションの女主人とその息子、そして2組の婚約者達。
この事件を引き金とするように、彼ら11人の運命は歪み、凄惨なる狂気の世界に墜ちていく――!
息詰まるサスペンス・ドラマ。
11人もの登場人物が密かに抱えているそれぞれの背景を丹念に描きながら、物語は次第に狂気の濃度をエスカレートさせていきます。
登場人物が多く、シーンごとに視点(語り手)や舞台、時間がころころ変わるので、一気に読むか、あるいはメモを取りながら読まないと混乱するかも。
また、殺人の場面の描写はその光景が目に浮かぶほど生々しいので、グロ描写が苦手な方はやめたほうがいいでしょう。
しかしながら、綿密に計算された構成、緻密なキャラクター設定、優れた描写力など、まさに「力作」と呼ぶにふさわしい作品です。
サスペンスがお好きな方はぜひ。