陽が東京に行くのは出発の前日に本人から知らされた。しかし驚きなどまったくなかった。陽は隠し通していたつもりのようだったかが日向(ひなた)は前々から気付いていた。陽の担任から聞き出したのだ。日向は最初は怒りを感じたが、陽はきっと自分のことを思って隠そうとしていたのだと気付きその気持ちは自然と消えていった。 きっと前の自分なら泣きわめいて、行かないでと叫び続け陽を困らせただろうな-と日向は陽とのプリクラを一人部屋で眺めながら微笑んだ。でも今は違う。今なら陽を笑顔で送り出せる。別れる気もないきっと離れても上手くやってゆける。こう思えたのはきっと圭子のおかげだ。