0と1の間、バグを探して。

作者木下 汰我



 ちょっとしたバグなんだ。

 0と1だけの世界に紛れ込んだ。1にも満たない、本当は許されない存在。


「消してしまえ。」


 誰かが言っていた。でも僕はそれがいとおしくて…。世界の隅に隠す事にした。


 そして僕は神様にでもなった気がした。弱い、守るべき対象は僕を強くなったと幻想を見せていた。


 間違いなんだ。守ってるのは彼女じゃない。本当は守ってるのは僕自身。


 守る事で弱い僕自身を隠してるだけなんだ…。



 0と1だけの世界に紛れ込んだ。1にも満たない、本当は許されない存在。


 これは彼女が僕に託したモノ。



短編集

0と1の間、

バグを探して。