吉川 心

緩やかに踏み込んだ非日常
初めに、とにかく引き込まれました。改行のない文面は、携帯では少々読み辛いかな、と思いましたが、そんなことは些細なもので、気付けば物語の中へ引き込まれていました。

主人公の紅葉は、産まれ落ちた瞬間、否、命を与えられた瞬間からその生を否定され。
主人公、紅葉が映す世界は、紅葉が主人であるにも関わらず、傍観者としてしかその介入を許さない。

生きることを否定され続ける紅葉にとって、それは日常だったが、これはとんでもない非日常だ。
耐え難い孤独、暴力、絶望にまみれた死。紅葉にあるのはそれだけ。そんな紅葉の前に現れたのは、得体の知れない神様四人、基、非日常に片足を突っ込んだ男子高校生達。

彼等の出現により、紅葉の世界は、急速に動き出す。死にたいと願う紅葉、彼等は、その願いを叶えてくれる。けれど紅葉は……。

先の読めない物語の展開は、緩やかに非日常へと流れ込んでいき、その先を期待させる。
更新が待ち遠しい作品だ。