ひまわり畑が怖かった。
私よりずっと背が高く、一度入ると出口が分からない。
全部のひまわりが、私を見下してケラケラと笑う。
「──やめてよ!」
怒鳴っても、柳に風、暖簾に腕押し。
みんなが知らん振りして、何も変わりやしない。
ああ、そうか。そうなのか。
とあの頃はただ納得していた。
君だけだったんだ。あの時私を下から覗き込んでくれたのは。
暗いひまわり畑から連れ出してくれたのは。