(( 私の、最初で最後の恋の話をしよう。 ))
見たこともない貴方の顔を思い浮かべて、そっと貴方の手を握って。
左手の中にある貴方の手が、とても冷たくて、つい笑みがこぼれた。
心が温かい人は手が冷たい、だなんて迷信は結構本当だったりするのかもしれない。
「 ――――、 」
貴方はあの時、何か言ったのでしょうけど、ごめんなさい、私の耳には届かなかったの。
ねえ、もう一度教えて、あの日言った、あの言葉を。
深い、深い、緑の夜に溺れて。
夢の中で貴方はこういうの――、
/ 杉内 奏夜-sugiuchi soya-