◆ 緑の夜。

作者れお。


(( 私の、最初で最後の恋の話をしよう。 ))


 見たこともない貴方の顔を思い浮かべて、そっと貴方の手を握って。

 左手の中にある貴方の手が、とても冷たくて、つい笑みがこぼれた。

 心が温かい人は手が冷たい、だなんて迷信は結構本当だったりするのかもしれない。

「 ――――、 」

 貴方はあの時、何か言ったのでしょうけど、ごめんなさい、私の耳には届かなかったの。

 ねえ、もう一度教えて、あの日言った、あの言葉を。



 深い、深い、緑の夜に溺れて。

 夢の中で貴方はこういうの――、

 



/ 杉内 奏夜-sugiuchi soya-