+ あの夏の菖蒲─あやめ─

作者笑夜

熱烈な恋愛だけが恋じゃない。幸せな恋愛だけが恋じゃない。何でもない恋愛が、時に何でもなく経過する。それが現実の儚い気持ちだ……

記憶の引き出しにあった

瞼の奥の淡い青春。


再会は二人の記憶を

心のスクリーンに映す。



『ずっと見てたよ……』



その言葉を胸に交わす

小さな交差は

何を想わせるのだろう。



──菖蒲【あやめ】──


初夏、花茎の先に青紫色

または白色の花をつける

アヤメ科の多年草。

花はハナショウブに似る。

日当たりのよい草地に自生する。