終わりの夜に

作者朱里

「私はここにいるよ」


そう呟いてみた。


聞いている者は誰一人と居ないのに


ここは都内のあるビルの屋上


時刻は夜中の零時。


こんな時間に女子高校生が外を出歩くなんて


普通の大人が聞いたらびっくりするかもしれない


でもここは


東京。


だから誰も声をかけない


それが普通なんだ。


寂しいとは思わない


もう慣れた


そしてもう疲れた


だから私は飛び込むんだ


あの自動車と人の川へと。


死ぬのではない


飛び込むんだ。


あの1週間がなければこんなことにはならなかった


今更何をいっても変わらないけれど


もう終わるのだから。