この手を延ばして私は

作者一橋妃芽



貴方が私を少しでも思ってくれていたのなら



私は貴方に幸せを譲ります。





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中学に入る少し前に出会った少年、京介(キョウスケ)。




走(ラン)はそいつに恋をした。




自分を削り過ぎた心朝(ミサ)。

涙を捨てた刹(セツ)。

明日があるか、不安定な奈里(ナリ)。

自分に素直になれない京介。

そして、自分を責めることしか出来ない走。



"自分"を失いかけている彼等は




光を求めて手を延ばす