「この世に未練なんかないわ」そう、彼女は言った。

 それはあまりにも哀しすぎる事実。

 けれど彼女の瞳には涙。

 一人の少女が、彼女に手を差し伸べる。

 彼女はその手を払いのけた。

 少女は、笑っていた。

 彼女は、また泣いた。


「あなたを信じて……いいですか」


 それは、愛を知らなかった子達の物語。


(愛を知らなかったワケじゃない、)

(哀しみに埋もれて、)

(忘れてしまった、ただそれだけだよ、)