栗栖ひよ子

人生は選択の積み重ね
あの時、別の選択をしていたら、今の自分の人生は、どうなっていただろう。

例えば、別の恋人を選んでいたら……?

そんなことを、誰でも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

この小説は、そんなテーマを、読みやすく、等身大の文章で描いた作品です。

「これがあびぃさんの処女作だったの!?」とびっくりしてしまいました。一作目から、このような複雑なテーマを描く力量はさすがです!

他のタイムスリップものとは違って、主人公だけでなく、恋人も同じ目に合うのが良かったです。

主人公が、一人で孤独に戦って、もとの時間軸に戻る話なのかなと思っていたのですが、
主人公の飛ばされた時間、恋人の飛ばされた時間の僅かなズレで、行き違いを生んで……。

なるほど!と感心してしまいました。

一見、高校生の、ういういしいカップル。でもそこには、お互いを信じようとする強い絆がありました。

指輪を渡すシーンがとても良かったです。

普通の恋愛小説とはまた違った、しみじみとした読後感が残ります。
ありきたりな恋愛小説に飽きた方にもおすすめです!