君は人を幸せにできない

作者遊吾

彼女は天真爛漫な、芸術家である。だが、"綺麗な薔薇には棘がある"とは、本当らしく、それを再度確認した時はゾクリ、と、した。初めて彼女を、人を怖いと思った。

「それは、初めて言われたなぁ」



そう言った彼女の揺れる瞳も、冷たい指先も、


何もかもが、フェイクでした。







そうして静かに君はわらい、

汚れた筆を、真っ白なキャンパスへと

這わせていくのだ。





「黒、がたまらなく怖いの」



暗闇が恐ろしい理由

(溶けて消えてしまいそうだからと、)

(君は笑った)




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