あの猫は死んだと思っていたのに…。よく考えたら、ちょっぴり怖い、ドタバタ系ほのぼの派物語。
黒猫を追いかけて
地元の人間しか知らないような細い路地を抜ける。
屋根から屋根へと飛び移る猫を必死に追う。
そのうち、息が苦しくなり、思わず咳き込んだ。
足が止まる。
猫は一瞬、こちらに目を向け、これ見よがしに曲がり角へと消えた。
「…!!」
重たい足を一歩踏み出す。
(あと、少し。)
あの角の先は、たしか、行き止まりだ。
(あと、少し――)
猫に負けてなるものか。
やっとの思いで壁に手をつき、その先に目をやる。
(――え)