Ryu West

恋の未練……
「卒業」という言葉の本当の意味を教えてくれる素敵な作品です。

エリートサラリーマンとして何不自由ない生活を送っている幸人は、献身的に尽くしてくれる恋人詩織との結婚に踏み切れずにいる。
彼の心の中には、自分の想いを伝えられなかった幼なじみ早紀への未練が残っていた。
ある日、突然、詩織から別れを切り出された幸人は、ある決意を胸に帰郷する……。

主人公の繊細な心理描写が丁寧に描かれていて、女性である作者さんは男性の気持ちをよく見透かしておられるなと思いました。
あくまでも一般論ですが、女性よりも男性の方が過去──特に昔の恋愛感情に囚われて、なかなか前に進めなかったりするような気がしますので(笑)

読後感が爽やかで、幸人と詩織、そして、早紀の幸せを願いたくなりました。

そして、「卒業」というのは、終了を意味するだけではなく、次のステップに進むための決心を意味するのだというメッセージを受け取りました。