遠野ましろ
左手の薬指を輝かせるものの重み
レビューは諸事情により中々着手出来ない。本日三度の飯より楽しみなジャ○プの発売日。
私情を述べたが、いかにこの作品が熱を持っているかという事。
読み終えた瞬間、心臓に熱い感覚が宿るうちに書きたい、そう思った。
主要人物は三名。頁数53。にも関わらずこの厚み…!
昼ドラや木10で常々感じる、薄っぺらい『結婚観』。(どろどろは確かに面白いが)
携帯小説で押しつけられる、安っぽい正義感。何でも許せばそれでいい?
…甘い。砂糖菓子より甘い。
辟易していた私にとって、この小説の『許せなさ』『壁』、歩み寄ろうとする『心』は真に迫るものがあった。
それぞれの立場からの感情にさいなまれ、それでも互いの声を封鎖せず、分かり合おうとするミキと園実の姿に強く共感した。
作者様は謙遜しておられるが、誠司も丁寧に描かれていて素直に同調した。ひ弱、逆切れ。女から見た不倫男に対する偏見は排除され、確固たる芯のようなものを感じた。
心情描写に加え構成の妙。P.20からの『カラクリ』。第三章からの回想形式にもご注目頂きたい。
特に、既婚者にお勧めの良作。