「将軍の娘」

作者ibiza

王国軍准将の一人娘、十五歳の少女、クラリス・アークライトには、九つの頃から想い続けた人がいる。

彼の名はシド・サリンジャー。自殺した兄が通っていた士官学校の同級生で、クラリスより六歳年上の下士官だ。

六年前。兄に誘われクラリスの住む屋敷に遊びに来た十五歳のシドは、幼いクラリスの初めての口付けを奪っていった。

その日からクラリスの心は悲壮な美しさを持つシドの虜になった。


そこで思いがけず、今まで遠くで見つめるだけだったシド・サリンジャーと再会を果たす。


シドも、クラリスと同じように、長い間クラリスのことを見ていたといってくれた。

クラリスが大人になるのを待っていたと。

六年ぶりに交わす優しい口付け。触れるだけのキスはやがて性急に官能を帯びてくる。