主人公・聖也が、突然海の中から現れた少女・クリアと出逢うところから、この物語は始まります。ファンタジーの要素を含んだ、純愛物語です。ぜひ見に来て下さい☆

   プロローグ

 

 ――海辺(シーサイド)。


 静かに波打つ音が聴こえる。

 二月というのはやはり季節外れで、人の姿はまるで見当たらない。

 しかも時刻が午前五時だから、それは当然の事であった。

 

 そんな時に何故彼女は来たのだろう。


 答えは実に簡単だった。


 誰もいない。つまり誰にも見られる心配がない。

 その方が彼女にとって都合が良かったからだ。


 そう、誰もいないはずだった。

 誰もいないと思っていたのだ。

 

 しかし、それは間違いだった。


 普段ならこんな時間に来ないはずの彼が、この日に限って来ていたのだ。

 海辺(ここ)に……。