少女Xと愉快なとりまき達

作者寿華兼


 バッター4ばーん!!


 外野さがってー

 そらすなよー!!!


ピッチャーが投球モーションに入る。最後の最後まで速くならなかった球が高めに浮いた。



カーンッ!!



気持ちよく鳴り響いた金属製のバットを投げ捨てて、走りだしたバッターを横目に見ながらセンターからホームまで真っすぐ、一秒でも早く返してホームランを阻止するために内野が並ぶ。


センターがボールに追いついた時にはもうランナーは2塁を蹴って3塁も蹴ろうとしていた。


センターからセカンド、セカンドからショート、ショートから…


勢いよくホームにスライディングしてくるランナーをキャッチャーがミットでタッチする。


砂煙がおさまると、審判の声が響いた。



「セーフ!セェ―フ!!!」




コロコロとボールがベンチに転がってきた。



キャッチャーのミットにボールは、はいってはいなかった。