樹杏 サチ

穏やかの中に潜む残虐な思い
静かな屋敷の中に響く、突然の来訪者の声。
春の陽射しが柔らかく、一見穏やかそうな景色。

だが、読めば、どことなく廃退的な雰囲気が漂ってくるような、そんな不思議な感覚にとらわれる作風。

靴の底を抜かせてしまったレイチェルが、かわりの靴を求めてやってきたのは、人の気配のない屋敷。
そこにはロゼッタと名乗る幼い少女。
靴の代金のかわりに『かくれんぼ』がしたいと告げるロゼッタ。

幼い遊び心とは裏腹に――

徐々に明かされていく、『ロゼッタ』の思い。
穏やかさの中に含まれている、痛いほどのロゼッタの思いに、無意識に眉を顰めてしまうほど。

作者様の、丁寧で綺麗な言葉選びがより一層この物語をひきたてていました。

ラストは、とても穏やかな気持ちになります。

読み終わったあとも、暫く続く余韻。
是非一度、感じてみてほしいです。

素敵な作品ありがとうございました