小泉秋歩

人は「真実」から目を逸らし続けられるのか?
コンビニで働く少女・凛(りん)は、最近、ある客のことが気になっている。
決まって早朝6時に来店し、水と野菜ジュースと卵サンドとセブンスターを買う男。
だが、ただの店員と客の関係、好きになったって仕方ない…そう思っていた凛に、その男は不意に声をかけるのだった。
「君、綺麗になりたいとか思わない?」
その男は、凛の顔に日々増えていく沢山の傷痕が気になっていたのだ。
突然の申し出に戸惑う凛。
凛は、実の父親から虐待を受けていたのだった――

心に「傷」を抱えた、凛と祐二の不器用なふれあいの物語。
互いに相手に深入りするのを避けながら、自分の心をさらけ出すのを恐れながら…それでも少しずつ2人の距離は縮まっていきます。
2人を見守る「小春」の存在が頼もしいです。ちなみにこの作品は、小春を主人公とした『俺の中のアタシ。』の続編でもあるので、そちらも併せて読むと面白さが一層深まるでしょう。
また、祐二に想いを寄せる香代子の存在も気になります。

「面倒事から目を逸らし続けてきた」祐二は、凛を苦悩から救い出すことができるのでしょうか――?