めぐり飛空

深い
端整な文章が織り成す、儚い物語。

主人公:蓮華は幼いときから病で、もうずいぶんと病室から出ていない。

唯一、季節を知らせてくれる窓の外の植物と毎日顔を見せに来る、空気のような主治医。

それが蓮華の日常だった。

短いお話でしたが、1ページ目から引き込まれる文章と美しい言葉。

すぐに物語にのめりこんでしまいました。

蓮華の儚い気持ちや葛藤が、痛いほど伝わってきて心に沁みます。

『紅』という残酷で妖艶な顔を持つ色。

物語の中で、キーワードともなるその色は、蓮華に凄まじい衝撃と微かな夢を与えてくれます。

心に響く、作品でした。

オススメです。