お姉ちゃんに手を引かれていると、
お姉ちゃんの友達や道行く大人は、必
ずといっていいほど立ち止まり、私の
ことをかわいいと言った。けど、そん
なことは重要じゃなくて、誇らしげな
お姉ちゃんの手の温もりが私の全てだ
ったように思う。何もかもが薄ぼやけ
ている中、それだけが唯一の感触だっ
た。そしてそれが、私の一番古い記憶
だ。