3.絶望の果てにある天使の鳴き声

作者苺からす



  お姉ちゃんに手を引かれていると、

 お姉ちゃんの友達や道行く大人は、必

 ずといっていいほど立ち止まり、私の

 ことをかわいいと言った。けど、そん

 なことは重要じゃなくて、誇らしげな

 お姉ちゃんの手の温もりが私の全てだ

 ったように思う。何もかもが薄ぼやけ

 ている中、それだけが唯一の感触だっ

 た。そしてそれが、私の一番古い記憶

 だ。