19歳の夏―。 

私達は高校を卒業したばかりで、自分たちの若さも知らず、忍び寄る悲劇の足音に気付きもせず、ただ、未来(さき)を夢見てた。

全てが未知数で、なんの経験もないくせに自分には絶対の自信を持っていて、「なにか特別なこと」をしたくて、平凡だとか普通だとかそういうものに埋もれたくなんかなくて、必死に探した。

 自分が輝ける舞台を。私にしか出来ない何かをー。


そこに待っていたのは―絶望だった。