線香花火に願いを(完)

作者初音

むせ返る暑さの中、あたし達は線香花火に願いを込めた。その思いは永遠なんだと疑いもしなかった。なのに、『しんどい』彼は眉を寄せ声を震わせ呟いた。

むせ返る暑さの中

あたし達は線香花火に願いを込めた。



その思いは永遠なんだと疑いもしなかった。


『しんどい』


彼は眉を寄せ声を震わせ呟いた。


背中を丸くした彼の姿を、冬の日差しか溶かしてく。



ごめんね、

そんな事言わせて。


もう開放してあげるから…