高3の私は朝の駅で会う一人の男子高校生に恋をしている。
名前も知らない。学年も知らない。制服だけがどの学校に通っているのかを教えてくれるだけ。
毎朝、駅のホームで見かけるだけなのに、私の頭は彼のことでいっぱい。
なんにも知らないのに、どうしてこんなにも好きなんだろう。
手を伸ばせばすぐ届く距離なのに、その1歩が踏み出せない。
好きなのに、好きって言えない。
私がもう少し可愛いかったら、もう少しだけ、自分に自身が持てたなら、きっと「好きです」って言えるのに。
切なくて、苦しくて、でも本当は、そんな自分が好きなんだと思う。だって、笑顔の彼に会えるだけでこんなにも幸せ。
純度100の片恋は、ほんの些細な喜びにキラキラしてるから。