タクシー・ドライバーの災難

作者ダンディーな香

あつかましくって、鬱陶しくって、危ないと思える人を無視できないときってありませんか?

 俺(主人公)は、冬の夜、千葉県九十九里の海岸に沿った道でタクシーを走らせていた。民宿「九十九里」で一仕事を終え、千葉駅に戻る途中だった。

 突然、車の前に現れた六十歳前後の男をタクシーに乗せるはめになる。男は随分酔っ払っていた。がしっりとした体格で厳つい顔つき、スポーツウエアの上によれよれのコートを羽織っている。見るからに怪しい。それでもタクシーに乗せたのは、半蔵門まで五万円を払っていいと言うからだ。

 俺は金に困っていた。本当に困っていた。そうでなければ、こんな胡散臭い酔っ払いを乗せたりはしなかっただろう。全くの運の尽きだ。