『すごい・・・あなた、見て見て!』
奈美の腕の中で
小さい小さい赤ん坊が泣いていた。
『どうした?』
夫の和也が赤ん坊を愛おしそうに眺める。
『この子の首のとこ・・・』
『え・・・?』
和也が顔を近づけて、
赤ん坊の首を見ると、
そこには小さな小さな黒い“シルシ”があった。
『蝶々みたいだ・・・』
和也は目を細めてこう呟いた。
美咲―――このとき0才。
首に鮮やかな蝶のマークを持って生まれた女の子。