君を連れて、旅にでる物語

作者藤井歩

14才、中学3年の加納士郎(かのう しろう)は特に何の不満もない学生生活を送っていた。


勉強は上の下。

運動も上の下。

女の子からの評判も上の下。

「割といいよね」その程度。


何でもできるのはみんな知っている。

でも、何が出来るのか?

「俺ってなんなの?」



16才、高校1年の水上悠子(みなかみ ゆうこ)は、祖母の実家の蔵から綺麗な飾り模様の小箱を見つけ、自宅に持ち帰る。


彼女がその小箱を開いたとたん、中から小さな赤ん坊の手が伸びてきて、彼女の体の中から何かを抜き取った。

その後小箱の中から溢れ出した光は、四方に飛び散り、霧散する。


その日から悠子の体に次第に奇妙な変化が現れる。