彼女と別れてから、17年。
嫌いになったわけではない。
けれど別れた二人。
就職活動。大学卒業。就職。
甘い恋愛だけでは、生きて行けない現実。
すれ違い。
そして、訪れるであろう、
さらなる、大きなすれ違い。
結婚。出産。育児。出世。
大学生を敢えて、子どもと呼ぶのなら、
子どもから大人へ成長するときに、
子どもの恋愛は、終わりを告げなければ、
ならない?
「幸せになってね」と彼女。
「お前もな」と僕。
陳腐なやりとり。
「近況報告くらいしろよ」と僕。
パソコンもケイタイもない時代。
けれど、手紙は、重すぎる。
「年賀状に近況を書くわね。」と彼女。
そして、1年に1回の「幸せ自慢」が始まった。
続いた。15年。そして、途切れた。