1月1日のラブレター

作者くろけん

彼女と別れてから、17年。

嫌いになったわけではない。

けれど別れた二人。

就職活動。大学卒業。就職。

甘い恋愛だけでは、生きて行けない現実。

すれ違い。

そして、訪れるであろう、

さらなる、大きなすれ違い。

結婚。出産。育児。出世。

大学生を敢えて、子どもと呼ぶのなら、

子どもから大人へ成長するときに、

子どもの恋愛は、終わりを告げなければ、

ならない?

「幸せになってね」と彼女。

「お前もな」と僕。

陳腐なやりとり。

「近況報告くらいしろよ」と僕。

パソコンもケイタイもない時代。

けれど、手紙は、重すぎる。

「年賀状に近況を書くわね。」と彼女。

そして、1年に1回の「幸せ自慢」が始まった。

続いた。15年。そして、途切れた。