壁越しのキス

作者りゆか

ひどくくだらない


嘘をついたんだ。





暴かれても


良いと思ってた。





きみを好きになるなんて

知らなかったから。









壁越し


きみはなんだって判ってたのに。


僕の虚勢も


意地も、


肌を伝う血のぬくみでさえも。




のどの奥で、


ぐっと堪えた涙の気配だって、




きみは。