桜紅葉の飛行機雲

作者灰音

現実主義者な毒舌少女と、ごく平凡な少年の、少しだけ外れた物語。

『人の人生は、みんながみんな平等な訳では無い。』



いつも僕の隣にいた幼なじみの、口癖だ。


いつも現実主義者で、僕をからかうのが大好きな、幼なじみの。



でも僕は、そんな幼なじみに、いつもこう返していた。


『そんなこと無いよ。』と。



今思えば、その言葉は彼女にとって何よりも残酷で、重いものだったのだろう。


そんな言葉を僕は、いつも返していたんだ。



例えるならば、充分過ぎる努力をしている人に、もっと頑張れよと言っているのと変わらない。


でももう、そんな後悔をしたって遅いと分かっている。


普通の日常が、僕にとっては普通では無くなってから、ずっと。



ずっと、だ。