卒業式の後には学園伝統のプロムが行われる。そのプロムが終われば、私たちは完全にあの学園から去り、春は終わりを告げる──はずだった。分をわきまえている悪役令嬢が、許可無く部屋の中に入り込んできたもう一人の脇役と、どうしてだか訳の分からないことを喋り続けることになる短編のような何か。
貴方の見ている世界での私は
たった一人のヒロインではなくて
ただの脇役令嬢でしかないはずで
「──それを、あの男は見抜いたんです」
そんな定説が
頭から崩れ去っていく
*
これは、とある卒業式のその後の話