いいえ、これは恋する羊の夢だわ

作者梁鴉



 「愛」という単語には色々な言葉の意味が含まれている。その「愛」を捉えるのは人其々と言うこと。

 その人が「愛」と認識するのであればどんな形でもそれは「愛」と呼べる物だ。

 どんなに歪んでいても異常でも狂っていても、それは一つの「愛」なのだから仕方がない。 

 「愛」は一つの意味を占めていない。

 「愛」は無数の意味を並べている。

 それは素晴らしい事で、とても美しい。これに間違えはない。

 けれど何処か虚しく、何処か心細い気もする。よく分からないけれど。


 「愛」に含まれた恋する羊の夢を話そうか。狼に恋した憐れな羊の夢を。

 この「夢」はきっと無事に終わりを告げてくれるだろう。

 【悲劇】になんて、ならないさ。

 【悲劇】なんて、建前でしかないのだから。 

 ―――――――とある恋する羊の夢、これにて開幕。