―ねえ、記憶ってどこにあるの?―
―さあ、頭の中じゃない?―
―夢のない子供だねえ―
―じゃあ、君はどこにあると思ってる?―
―ここじゃない?―
―ここ?―
―うん。私はここにあると思うの―
―『心』とかじゃなくて?―
―うん。ここにあるの―
―なんでそう思うの?―
―それは秘密。答えはクロが探さなきゃ―
―ぼくにできるかなあ―
―何言ってるの。やろうと思えばできないことなんてひとつもないよ―
―でもね。私の真似じゃなくていいんだよ。クロの出した答えも多分正しいと思うから―
―ありがと。そう言ってくれると心が軽くなる―
―いえいえ。私には言葉しかかけられないしね―
―そんな事ないよ。君はぼくにいろんなものをくれた―
―ううん。私のほうがクロからいっぱい大切な事学んだよ―
―そっか。じゃあぼくは行くよ。君の言った答えを探すために―