また逢えるとしても、この手を離さない。

作者藤間 猶斗

・恋愛色の濃いファンタジー小説です。・ライトノベル的な表現をしています。※10/26 別サイトより移動を始めました。編集途中ですが、宜しくお願いします。



 陽夏(ハルカ)は至って普通の女の子。

 高校生活2度目の夏は、あまりの暑さに出掛ける気力を奪われて、時間を持て余すときにはいつも眠っていた。


 そのためか、たまに見る同じ夢をこの夏だけで両手で足りないくらいには繰り返し見ていたと思う。少し不思議な、何故か大切だと思ってしまうその夢。

 現実逃避をしたいほど、今に不満があるわけでもないし、友人だっていないわけじゃない。


 翔(カケル)は少し調子の良すぎるところに困らせられることもあるけれど、陽夏の夢物語を楽しそうに聞いてくれる幼なじみだし、未来(ミク)はミーハーでテンションが上がると止められないけれど、ここぞという場面では姉御肌をちらつかせるほどのしっかり者で。


「何か起こったりしてな」


 そう悪戯に笑う翔に『楽しみだね』と返そうとすれば、一瞬見間違えたのかと思うほど切なげにこちらを見る視線。




――ねぇ、あの約束を覚えてる?