ひとつの箱についての話です。世の中には同じような箱がいくつかあるそうですが、この経験談を見る限りは、開けない方が賢明なんでしょう。

ここに禍包箱に類する物と見られる、穢れ箱についての記述がある。


以下、岩手県の民俗研究資料から抜粋

(混乱を避ける為、場所等の明記は避ける)



〇〇郡〇〇〇の辺りに、〇〇という旧家がある。

ある日その家の物置から、古い箱が見つかった。

箱には厳重な封印がしてあり、そこには一枚の紙が貼付けられていた。

紙には箱についての説明が記されていたので、ここにそのまま載せておく。



此の匣(はこ)の中身を無用に見るべからず。

匣の中身は災禍なり。

匣の中身は穢れなり。

月経の血と人間の糞尿、犬猫畜生の脳味噌、死んだ赤子の臍の緒を混ぜ合わせて内側に塗りつけた、穢れを呼び込む入れ物なり。

穢れ様が鎮座する御家なり。

もしも恨み事があるならば、穢れ様を匣ごと相手に渡すべし。

さすれば相手、三日のうちにのたうち回って死に至ること間違いなし。