「なんだお前ってふつーに笑えんのな」
アイツと最初に言葉を交わしたのは、中学の卒業式。
「そっか、困らせてごめん」
アイツにそう謝られたのが、高校3年の春。
「…っ…ヒロミ」
耳元でアイツが知らない女の名前を呼んだのは、大学3年の冬。
「久しぶり、樋口さん。綺麗になったね」
アイツに昔と違う呼び名で呼ばれ、
見え透いた社交辞令を言われたのが…
今年の夏の終わり。
長過ぎて。
岐路がいっぱいありすぎて。
いつ間違ったのか。
これで正しかったのかが分からない。
私とアイツの交わらない道。
道は今も繋がることなく平行線のまま続いていた。