うのたろう

うまい作品
感想はシンプルだ。

「うまい文章」

リズムがいい。
テンポがいい。
なにげない日常を描いた景色も心地いい。

物語は、名前を持たない「あたし」と「君」との、ちょっとしたやりとり。

そのちょっとしたやりとりが、季節ごとにひとコマずつ。

一見詩のようでもあるが、そうでもない。
きちんと小説になっている。
すくない言葉のなかに、必要な情報がすべてつまっている。

奥ゆきがあり、ふれられる、そんな作品。

どこか他人ごとの物語ではなく、読者たちはいつのまにか作品のなかにはいりこんでいる。
そんなコントロールのしかたも、ひじょうにうまかった。

短編なので、はじめてのかたでもはいりやすい。

まずは一度読んでみることをおすすめする。