南あきお

仄暗く、どこか懐かしい雰囲気。
全体に漂う曇り空の様でノスタルジックな雰囲気が好みでした。

ラストに向かうにつれ、点が線に繋がってゆくのも良かったです。

主人公の心理描写も良かったですが、少し情景描写がアッサリしていて、主人公が何処の場面にいるのかが分かりづらかったです。

あとこれは狙ってなのかもしれませんが、ストーリーが進み、もっと先を読みたいと思った所で章が変わり、次の章では全然別の場面に移っている箇所が多々ありました。
急に場面が変わると、盛り上がりが冷めてしまうような気がします。

あとこれはストーリーには直接関係ありませんが、病んでいる者同士のコミュニュケーションというものは一筋縄ではいかないんだな、と感じました。
「力になりたい」と思うあまり、どちらかに(あるいはお互いに)負担が掛かる事も多々あると思います。
なので、そういった傷を癒すのは、林先生のような素敵な医者に頼んだ方が上手くいくと実感しました。

個人的に気に入った言葉は、死を『永遠の自由』と表現したり、AKOが書いた『美病』という言葉。
考えさせられるパンチの効いた言葉だったので気に入りました。