作品コメント
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- 南あきお
仄暗く、どこか懐かしい雰囲気。
全体に漂う曇り空の様でノスタルジックな雰囲気が好みでした。
ラストに向かうにつれ、点が線に繋がってゆくのも良かったです。
主人公の心理描写も良かったですが、少し情景描写がアッサリしていて、主人公が何処の場面にいるのかが分かりづらかったです。
あとこれは狙ってなのかもしれませんが、ストーリーが進み、もっと先を読みたいと思った所で章が変わり、次の章では全然別の場面に移っている箇所が多々ありました。
急に場面が変わると、盛り上がりが冷めてしまうような気がします。
あとこれはストーリーには直接関係ありませんが、病んでいる者同士のコミュニュケーションというものは一筋縄ではいかないんだな、と感じました。
「力になりたい」と思うあまり、どちらかに(あるいはお互いに)負担が掛かる事も多々あると思います。
なので、そういった傷を癒すのは、林先生のような素敵な医者に頼んだ方が上手くいくと実感しました。
個人的に気に入った言葉は、死を『永遠の自由』と表現したり、AKOが書いた『美病』という言葉。
考えさせられるパンチの効いた言葉だったので気に入りました。 - 弘嶋ラモン
現実と夢の狭間で…
訳もわからず、日常では考えられない様なトラブルに巻き込まれ、どうしていいかわからない。そして、言いようも無い恐怖から逃げ惑う自分。迫り来る恐怖に追いつかれようとした刹那、つまづいてしまう。もう駄目だと思ったその時、目が覚める。しばらくの混乱の後、少し前の状況が夢だと理解する。そして夢で良かったと思う。そしていつもの日常が始まると、またそこで目を覚ます。
アナタはそんな夢をみた事があるだろうか!?目覚めてから本当に、訳がわからなくなって混乱した事がある。この話はこの作品とは無関係だが、読んでいて、なぜか昔みた夢の話を思い出した。
この作品は、精神病・抗うつ剤・副作用…など重いテーマが骨組みにある。それは経験の無い人間にとっては一見理解しがたい様な、敷居の高さがあると誤解されがちだが、この筆者は見事にその課題をクリアしていると感じさせる。思い出・トラウマ・コンプレックス・無気力など誰もが共感、又は理解の超えない表現やストーリー展開が上手い。それはまるで、現実と夢の狭間を行き来する旅人のようだ。
このレビューを読んで、僅かでも興味や想像力や好奇心が刺激された方は、お勧めします。