この街に

600年前からある

『鬼守神社』


そこには

ある伝説があった。



『あるとき大きな

災厄が訪れて

たくさんの鬼が生まれ

たくさんのひとが死んだ。


そこに立ち上がる者

ひとりの聖なる巫女と

ひとつの穢れなき鬼が

力を合わせて

百の不浄を凪ぎ払い

千の悪霊を封じ込めた。


そしてこの地に

平和は戻り

巫女と鬼は眠りについた』



この街のお年寄りは

昔から信心深くて

今でも御参りを

絶やさない。


そのお年寄りたちから

中年や若年層に至るまで

この街に鬼の伝説を

知らないひとはいない。


そして私、

匣守 夕凪(はこもりゆうな)

はその鬼守神社の

12代目の巫女だ。