女子高校生の携帯電話の所有率が90%を超えると言われる時代。
朱海は校則の厳しさと制服のダサさなら都内でも10本の指に入るのではないかと言われる女子高に通っていた。
少女たちは卒業と同時に髪を染め、ピアスをあけ、携帯電話を自在に操る日を夢見ていた。
そして、朱海もそんな一人だった。
卒業式の帰りに携帯ショップを訪れ、目を付けていた最新機種を手に入れ、その次の日には渋谷の美容院へと駆け込んだ。
生まれて初めてパーマをかけ、髪を明るい茶色にした自分は、まるで別人のようだった。
これからは毎日この姿で生活するのだ。
憧れの青山のキャンパスで。