川瀬リノ

欺くも愛は、美しく消える
――雪の上に、舞い落ちる鮮血の赤を見た。

「人は悲しい生き物だ……」

“低い──けれども、風に消えることなく優しく響く声音。それに返す声があった。”

「あなたの言うとおりだわ」

“そこにいたのは、黒く艶やかな髪に意志の強そうな瞳。白い上衣に赤い袴の巫女装束に身を包んだ少女。”

優しくも悲しい鬼:紅漣と、里を守る美しい巫女:千砂が出会ったとき、物語の歯車が廻りだす――。

***

鬼と巫女、まったく違う境遇だというのにも関わらず、至純の愛を繰り広げる二人に、読んでいてなんだか温かい気持ちになれました。

人は悲しい生き物……。この言葉に、なぜだかわからないけれど、訴えかける強い思いを感じました。

いえ、それは一つ一つの言葉に留まらず、紅蓮桜花という小説すべてをひっくるめていえる言葉だと思います。

ファンタジーなどが好きな方には是非おすすめです。